片づけられない、どうしたらいい?

遊んだら遊びっぱなし!片づけないでいつも散らかしてる

おもちゃ箱をひっくり返して全部出したけど片づけはしない、園においてもよく見る姿です。まず出しちゃって全体把握をし「これがいい」と欲しいものを見つけたい子もいます。片づける事をそっちのけで次々に様々なおもちゃに目移りするのは、『今』を生きる子どもの特性もとても関係しています。『立つ鳥跡を濁さず』ということわざがありますが、『立つ鳥』を子どもに置き換えてこの言葉を借りると、子どもは『立つ鳥後を振り返らず』が当てはまるでしょう。「片づけよう」という理性や秩序が身につく前の子どもは「今が楽しい」という快楽が優先なため、「楽しそう」と興味の惹くものが目先に現れると衝動的に体が動いてしまいます。
片づけられない子は、片づけるという行為を億劫に思っている、楽しくない事と認識している可能性が考えられ、不快要素の根源を取り除くことが解決につながります。「どうして、おもちゃを出しっぱなしのままじゃいけないの?」と片づけの必要性や意味を理解していない場合、「片づけなきゃいけないのは分かっているけど面倒くさい」と楽しくない時間と捉えている場合、もしくはどちらも抱いている場合があります。言葉かけの例も交えながら紹介します。

 

片づけることの必要性や意味がわからない

一緒に箱に(引き出しになど)しまおうか

「一緒に」というキーワードが重要で、子どもの意欲がちょっとだけ湧く突破口を作ってくれます。一緒にすることで、子どもは独りで片づけなければいけない義務感と孤独感から開放された感覚になります。散らかっているおもちゃの量は私たちからすると少ないように見える時でも、片づけたくない子にとってはとても億劫なことです。この感覚を大人の私たちに例えるなら、急に上司から「これやっておいて」と大量に気が乗らない仕事を命じられた時、と捉えると近いでしょうか。私たち大人は、唖然としても何とかしなければと感情を奮い立たせ、成し遂げる努力をすると思います。ですが子どもは、目の前に与えられた『片づける』という大きな壁は、一人では乗り越えられる想像が到底出来ません。それでも、大好きなお母さんも一緒なら「自分も出来る気がする」と希望を抱いてくれ、手が動きます。ちょっとだけ興味が湧いただけでもはじめのうちは十分なことで、最初は9.9割お母さんが片づけていたとしても、繰り返し行うことで次第に変化が現れます。だんだん一人で出来るようになると、お母さんの片づけに付き合う時間もだんだん短くなってくきます。
一緒に片づけている最中のたわいもない会話も子どもが「楽しい」と感じる重要な要素です。先ほども申したように最初は誘いかけても乗り気ではなかったとしても、片づけの度に誘いかけると子どもは必ず心を傾けてくれます。お話もしながら、最初はちょっとだけしか箱にしまっていなかったり途中で逸脱していた子も、回を経て5個、10個…と多く片づけるようになります。お母さんが「このおもちゃも、おねがいしま〜す」と言えば、「はーい」と快く引き受けてくれるようにもなるでしょう。たまに「いやだ」と答えたり聞いていないふりをする姿も、お母さんとのやり取りを楽しんでいる証です。子どもは「もっとかまってもらいたい」というお母さんへの照れを、さりげなく伝えようとしていることのほうが多いです。お母さんが「いいじゃ〜ん、一緒にしようよ」と子どもにすり寄ってみたり、時にはお茶らけて「そこを何とかお願いします」と低姿勢になってみたり、会話を通して笑いが生まれたら、片づけが定着するまであと一息です。気が乗らない事に笑いがプラスされると、子どもはその物事に前向きになってくれます。

箱にしまおうね

また、片づけの意味がわからない子に対しては、このセリフもよく響きます。『片づける』とはどういう行為をするのか、ということを理解していない場合も大きいです。今までその子の傍でお母さんが片づけをしていたことがあったとしても、興味がなければ子どもは目にも止めていません。「片づけて」の言葉を耳にしただけでやる気が削がれる場合もあります。興味関心の気持ちが少しでもなければ、いくら片づけを誘いかけてもやらないのは当然です。『片づける』という行為をより具体的でわかりやすい言葉に変換してあげましょう。「引き出しの中に入れたら閉めてね」「音を立てずにそっと置いてみよう(投げて片づけた子に対して)」等端的な言葉で伝えることも大切です。片づけたという結果は同じ事でも子どもに伝わる伝え方を心がけるだけで、子どもの行動は変わります。

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綺麗になったね!片づいてすっきりしたね。お母さんも嬉しいよ。

お母さんが片づけた割合が多かったとしても、片づけが終わったら別の行動に向かう前に、必ずこのような言葉で終わった事を子どもに伝えてください。締めくくりの言葉をいうことで、子どもは自分のした行動に意味があったと考えることができます。片づけると綺麗になる、良い気持ちになる、片づいてお母さんも喜んでいる、これを改めて伝えることで、子どもは自分の気持ちと向き合いやすく、次第に片づけることの意味が湧いてきます。お母さんが大袈裟かもしれないと思うくらい褒めてあげるのが、子どもにとって丁度良い幸福感だったりもします。
また、最後の一つになったおもちゃを子どもにやってもらったうえでこの言葉を言うのも、とても効果的です。締めくくりの言葉が大切であるのと同様、最後の一つを入れる事が片づけという行為を締めくくります。それまでは全然子どもが見向きもしなかったとしても、最後の一つをやってくれたら「やってくれてありがとう」と声をかけてあげてください。自分でやったという達成感とお母さんの喜ぶ表情が、次第に子どもの心に必ず響きます。

 

このように一緒に片づけを行っていく場合、どうしてもお母さんもその時時間を取られることになります。勿論、お母さんが忙しい時は無理して時間を捻出する必要はありません。時間に迫られたら「ごめんね、この後〜しなきゃいけないから、お母さんが後はやっちゃうね」という時も、あって構いません。最初のうちは「私一人だったら〇分で片づけられる」の感覚の倍の時間を見積もって一緒に片づけに取り組んでください。その時に「だいたい△分、実際にかかったな」と時間を把握しておくと、次の誘い掛けの参考になりますし、お母さんも予定を立てやすくなるでしょう。

 

<div class="arrow_orange">片づけることが面倒くさい

上記の言葉を掛けてみたりお母さんが言葉かけを工夫してもやる気が持続しない場合は、環境にも今一度着目してみる必要があります。めんどくさいと思われる環境要素を取り払うことが解決へ導きます。しゃがみこんで子どもと同じ目線になってみてください。今まで見えてなかったモノが見えてくるかもしれません。

見直してみよう!子どもが「めんどくさい」と感じる主な要素

●引き出しや箱にしまいにくい
子どもの手の届きにくい場所にある、子どもの目線よりも高い、棚の滑りがなめらかでなく開け閉めしにくい、箱の蓋の閉開が難しい等があったら、改善しましょう。
●箱の中が見えない
おもちゃをどのくらい入れたか自分で分からなくて達成感が湧かない、それぞれのおもちゃの入れる場所がわからなくてやりたくない感情が湧いてい可能性があります。箱にそのおもちゃの写真を貼り付けたり、箱を透明なものに変えて中身がわかるようにするのがお勧めです。
●細かく分類しすぎ
子ども目線から見た時に細かく分類しすぎているのかもしれません。その子にとって場所が覚えられない程収納数が多い、向き等が決まっていないと収まらない等が見受けられたら、もっと大雑把にカテゴリにし収納を簡素化しましょう。
●子どもの発達過程にあっていない収納方法をしている
例えば、紐通しの遊びが難しい子に掛ける収納があると難しくて放り投げてしまいます。その子の出来る行動を、収納方法につなげましょう。
●収納棚のある位置を移動してみる
お母さんが足を運ばないと、片づける子どもの姿が見えないような位置に設置していたり、散らかっていてもさほど困らないような場所に設置していたのなら、お母さんが見えやすい所や生活動線内に移動してみてください。子どもはお母さんの「片づいていなくても、まぁいいか」という心を感じ取っているからです。お母さんの目につきやすい所に変えると、「ここに散らかしていたら、通る時にみんなが困っちゃう」という自分以外の人の存在と必要性に気づくので「自分がやらなきゃ」という意識が芽生えます。お母さんの見やすい所にあると我が子に声もかけやすいので、会話も自然と生まれます。

片づけてくれてありがとう

いつのタイミングでも良いので、しっかり口に出して伝えましょう。お母さんに褒められる事もその子にとって片づける事のやりがいと意欲につながります。「お母さんが喜んでいる」それがわかることが、子どもにとって一番の幸せであり、原動力です。

 

 

 

 

 

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